ネットスーパーの販促活動に関して
2009~2010年にかけてイトーヨーカ堂やイオンなどの大手企業が、ネットスーパーの利用可能エリアを拡大するなど積極攻勢を仕掛けている。また、ネットスーパーをPRするテレビCMも2010年ごろから流れはじめ、ショッパーの間で急速に認知が広がっている。
ネットスーパーでの販促を仕掛けるには、利用者のアクセスが集まるページや、買物サイト内の主な動線上に、ショッパーの関心を誘うような情報・コンテンツを配置することが重要になる。あるネットスーパーでは、利用者が会員IDやパスワードを入力して会員専用の買物画面にログインすると、その直後に、商品特売情報などの紹介ページを表示する仕組みと整えている。これは、ユーザーがウェブページを読み進めるプロセスで、半ば強制的に広告情報を挿入する「インタースティシャル広告」というインターネット広告の手法。そもそも買物することを目的にネットスーパーの会員画面を開こうとしているユーザーがほとんどなので、こうした手法を使って特売情報をアピールすれば、ついでに買われる可能性も高まる。
注文商品を家庭に届ける場面も、有効なプロモーション機会に位置づけられる。商品を配達する際、新製品の試供品を同梱すれば、手に取ってもらえる確率が高く、製品をアピールする格好の機会となる。新製品をプロモーションする際、街頭でのサンプリングを実施するケースがあるが、どこでサンプリングをするのが効果的なのかを見極めるのは、そう簡単ではない。また、ターゲットとする人に確実に渡そうとするには、配布スタッフへの教育や管理もある程度必要となる。不確実な要素が少なくない街頭でのサンプリング活動に比べると、ネットスーパーの商品配達場面を利用したサンプリングは、消費者への到達精度の高い手段。
商品配達には気を使っている。商品配達で不具合が生じるとネットスーパー利用へのイメージダウンにつながりかねないため。注文商品をピッキングする上でも、商品選びに間違いがないかどうか厳重にチェックするほか、ピッキングした商品が傷んでいないかどうかにも神経を尖らす。ある大手のネットスーパーでは、商品を配達するスタッフには禁煙をルール化している。
バナー広告:買物サイトの上部など目立つ箇所に、広告枠を掲出する手法。専用のプロモーションページにリンクすることが一般的。ネットメディアでの代表的な広告手法。バナー広告の表示回数に対して、何回クリックされたのかという割合を表すCTR(Click Through Rate)は市場全体で1%を大きく下回るとも言われている。
インタースティシャル広告:利用者がページを閲覧する最中に、広告情報を半ば強制的に表示する仕組み。目的のページにアクセスすると、そのページに移る前に広告ページが表示される運用が一般的。ページ遷移時にページとページの間に表示する広告のこと。広告を表示して一定時間がたつと自動的に次のページに移動する仕組みになっていることが多い。スプラッシュページと呼ばれることもある。コンテンツとコンテンツの間に広告を挿入する発想はテレビと共通している。トップページが表示される直前のインタースティシャル広告は,イントロマーシャルと呼ばれることもある。これらの広告はページをまるごと広告スペースとして利用できるので,自由なクリエイティブが展開できる。
ダイレクトメール広告:お勧めの商品や特売情報などをメールで伝達する手法。チラシのような役割を担う。見込み客にアプローチできる有力な手段といえる。メールの件名・掲載内容がその開封率を左右しやすい。
配送手数料の割引キャンペーン:ネットスーパーの多くは、一定の配送手数料を利用者に課金する。その手数料を引き下げることで、利用者を増やそうとする手法。手数料が無料になる買物合計額の水準を下げることも、有効な利用促進手段になる。(例:買物合計5,000円以上で配送料無料→合計3,000円以上で無料)
無料サンプリング:商品配達時にメーカーの試供品を配るサービス。街頭でのサンプリング活動に比べると、有力なショッパー(主婦など)の手に届く確率が高い手法。
(参考文献 ショッパー・マーケティング)