本日はレゴのマーケティング3.0「価値共創のマーケティング」に関して記載します。
国や企業がネット上から自社のサイトやシステムに侵入するサイバー攻撃から身を守るために多額の費用を投じて対策をとっていますが、レゴはハッカーに自社の制御ソフトウエアに手が加えられるようにして、更に商品開発に顧客が積極的に参加できる仕組みを盛り込みました。
その商品は1998年販売の「レゴ マインドストーム」です。マインドストームはアメリカのMITと共同開発した、マイクロコンピュータを搭載した組み立てキットによる自立型のロボットです。販売されて間もなくのことです。ハッカーがこの商品を作動させるソフトウエアに着目。プログラムコードを解読して、ネット上に公開する事件が起きました。このプログラムコードが分かってしまうと、コンピュータプログラムに詳しい人なら、自分流にマインドストームを動かすことができるようになってしまいます。通常の流れであれば改ざんされないようにセキュリティの強化を図るところですが、レゴは反対にプログラムコードを公開。更に改良したマインドストームをユーザー同士で発表できる大会を開催。マインドストームの愛好者が集まる場にはレゴの社員も参加して、交流するようにしました。このような取り組みによりマインドストームのユーザーは拡大し、累計約100万セットという大ヒット商品となりました。まさしく顧客を巻き込み商品の魅力を高めたということになります。
またレゴは日本で“レゴCUUSOO”という会員制ネットサイトを立ち上げています。このネットサイトの仕組みは、会員が新しいレゴの商品企画を考えて提案し、他の1000名以上の会員から購入したいという投票があると商品化されるという仕組みです。これにより有人潜水調査船「しんかい6500」や小惑星探査機「はやぶさ」などが商品化されているようです。
顧客を巻き込むことにより、自社の根強いファンになってもらうというマーケティング。実際には簡単にできることではないと思いますが、ハッカーの侵入は防ぐべきという発想を転換させ味方につけていく取り組みはレゴのすごいところだと思います。
(参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)