本日は消費税増税に対応した小売業の動き(ディスカウントストアを中心に)記載します。
2014年4月に実施される消費税増税の影響もあり、2013年度中の高額消費に関しては、ある程度堅調に推移するという見方が主流となっています。また、2014年1月~3月期にかけては消費税増税の駆け込み需要が加速し、消費が一段と活発化するという声もあるようです。その一方で消費税増税後は駆け込み需要の反動が想定され、ニッセイ基礎研究所の試算では、2014年度の個人消費は5兆4000億円も押し下げられるのではないかと言います。現在は高額品の売上アップにより堅調に推移している百貨店業界ですが、増税後に何もしなければ、業界全体の売上高は3%程度減る可能性があるようです。2015年10月に10%の消費税引き上げの予定もありますので、今後の消費環境が安泰だとは決して言えなさそうです。
消費税増税と合わせて消費環境に影響を与えそうな要因に円安に伴って進む原料・燃料高があります。日経POSデータで5月と6月を比較、食品50品目と日用品30品目の平均価格を見たところ、半数の40品目が5月より上昇していたそうです。小麦や大豆を原料にした加工食品の値上がりが目立っているそうです。そして電力各社が電気料金など相次ぎ値上げしていますので、家計は厳しい状況に置かれていると言えます。
上記のような要因により、消費税増税後の消費環境は厳しいものが想定されます。消費税の増税分以上に給料が上がれば可処分所得がマイナスになることはないわけですが、そうなるとは限りません。消費環境の変化に伴って小売業界の流れも変わってきます。イオンの岡田社長によると「どこの国でも消費税率が大きく変わると従来型の小売業が落ち込み、ディスカウント型が成長する」とのことです。実際、過去に消費税率が3%から5%に引き上げられた1997年、ジャスコ(現イオン)が「メガマート」の出店を増やすなどディスカウント店が広がっています。現在では、家電・日用雑貨・食品・衣料品などを取り合う総合ディスカウントストアのMrMax(ミスターマックス)が日配冷凍食品などの小型商圏型の小型の新型店「セレクト」の展開を開始。今後3年間で50店舗に増やす予定です。また、首都圏地盤のオーケーは2013年度に前年比の2倍の8店を出店。福岡市のトライアルカンパニーも同2倍の30~40店を計画しています。小売り大手のイオンも2013年度末までに首都圏で小型ディスカウント店「アコレ」を100店まで増やす予定です。
ディスカウント店の拡大が進む一方で、長いデフレを経験した消費者は安ければいいというわけではなく、付加価値の高さを求めるようになっています。この流れの中で流通業各社はPB(プライベートブランド)に力を入れるようになってきています。
電気代上昇などの円高によるマイナスを所得増のプラスにより上回るのは2014年末以降とも言われています。今後も継続的に小売業の競争が激しくなることが想定される中、時代の流れを読み、その変化に対応していくことも求められそうです。
(参考文献 日経MJトレンド情報源2014)