企業の価値づくりに関して エフピコ

本日は企業の価値づくりに関してエフピコを例に記載します。

エフピコは成長を続ける1962年に創業した食料品店などで使用される簡易食品容器の専業メーカーです。

そもそも、箱や容器などの梱包容器は商品を運ぶ際には必ず必要になりますが、商品を使用し終わった後はすぐに廃棄されます。その様なわけで、箱や容器が商品の価値を向上させるわけではないので、小売業側からすればコストとして捉えられる傾向があります。

その様な中、同社は、底面を傾斜のついた段々の形状にして、薄切りにした精肉がよってしまうのを防ぐ容器を作るなど、内容物の崩れや転倒・汁漏れなどが少なく、更に商品の見栄えが良くなるような容器の開発を行ってきました。

同社は食品トレーの販売にとどまらず、盛り付けした商品の陳列方法など、顧客企業の売上が向上するようなノウハウを提供しています。また、小売業において容器代は商品売価の2%が一つの目安とされますが、それを踏まえて容器代が売価の2%を下回っている商品を使用する取引先には、適正価格の容器を使った効果的な販促方法や、積み重ねができる容器の採用によりスタッフの作業を軽減化する方法などを、営業担当が提案しているそうです。

 現在、様々な分野でコモディティ化が進んでいますので、単に機能や性能が優れている商品を提供しているだけでは、他社に対して優位に立つことが難しくなってきています。今、「生活者が求めるサービス」という見えない価値を付与したり、他社には提供できないサービス対応をしたりすることによって、商品そのものだけでなく、“価値”を作り上げていくことが求められているようです。そのためには自らの強みを知り、できることを見つけ出し、実践していくということが必要になってくるように思われます。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

ゲーミフィケーションとO2O

本日はゲーミフィケーションとO2Oに関して記載します。

 今日、久々に銀座線に乗っていたら「縦横無尽線隊メトロン9」という中吊り広告がありました。これは東京メトロとセブン&アイグループがタイアップしている企画で、MANTA(東京メトロの情報配信サービス)で3枚のデジタルトレカを入手し、セブン-イレブンのセブンスポット(無料Wi-Fiサービス)にアクセスすると、最後のデジタルトレカ「プレミアム・メトロン9 ナインライブス」が手に入るというものです。そしてその後ゲームにチャレンジして勝利すると「東京メトロオリジナルグッズ」が抽選でプレゼントされます。これは、駅から店舗へ、そして店舗から駅への送客効果が見込める、O2Oと言えます。

 縦横無尽線隊メトロン9のようにゲームの要素を取り入れて店舗の集客を図る“ゲーミフィケーション”は、現在、世界のIT業界で注目されていている単語です。大手IT調査会社のガートナーはゲーミフィケーションの可能性を高く評価し、2015年までに50%以上の企業がゲーミフィケーションの手法を導入すると予測しています。O2Oを活用して、消費者を店舗に誘導し、その後の再来店を促し、さらにお得意様になってもらうために、ゲーミフィケーションは非常に有効な手段のようです。

 株式会社ゆめみが、2011年11月に位置情報ソーシャルサービス「MyTown iPhone版」を提供しました。これは利用者がリアル店舗へ訪問しチェックインを行うと、実際の店舗の外観そっくりにデザインされた建物アイテムが獲得でき、それをアプリ内の自分の土地に自由に配置でき、自分好みの理想の街づくりを行うことができるものです。このMyTownにはローソン、ドン・キホーテ、東急ハンズ、牛角、ケンタッキー・フライド・チキンなど大手14社が参加(2012年1月31日現在)。その中でドン・キホーテは2011年12月21日から2012年1月31日まで、MyTownとレシート広告と連携したキャンペーンを実施しました。これは、実際のドン・キホーテの店舗付近でチェックインを行うと回数に応じて「宝箱」アイテムを入手できるものです。そして「宝箱」を開けるには「鍵」アイテムが必要で、それを入手するためにはドン・キホーテで商品を購入し、レシートについているQRコードを読み取ることが必要となります。「宝箱」を開くとMyTownの限定アイテムがもらえます。このように、ゲームでの限定アイテムを手に入れるために、店舗に何度も来店し、更には商品の購入にまで進んでいくのです。

 様々な情報があふれる中で消費者から自らの店舗に愛着を持ってもらうための手法がゲーミフィケーションということでしょう。実際のゲームのことを考えると、ゲームソフトがたくさんある中でヒットするものはわずかであり本当に面白いものだと思います。O2Oを活用したゲーミフィケーションの流れは今後より大きなものになっていくと思いますが、それを活用する企業が増えれば増えるほど、ゲームの中身や企業の販売する商品・サービスのレベルが高いかどうかが、今まで以上に消費者に求められるようになってくるであろうなとも思いました。

 (参考文献 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける)

JINS PCの市場の細分化

本日はJINS PCの市場の細分化に関して記載します。

 少し前に尾田栄一郎のワンピースとJINS PCがコラボした商品のCMがやっていましたが、このJINS PCはこれまで眼鏡を必要としていなかった生活者にまで需要を拡大した商品です。

もともと眼鏡は、レンズはニコンやHOYAなどの国内メーカー、フレームは問屋や商社から仕入れていたため、中間マージンがかかり販売価格が高止まりしていた業界でした。そこに、ジェイアイエヌの「JINS」やインターメティックの「Zoff」といった企業が安価な商品を投入し、一時的に売上を拡大しました。しかしながら、低価格競争の流れの中、眼鏡市場は2000年代からの10年間で6000億円から4000億円まで規模が縮小してしまいます。

その眼鏡市場のダウントレンドの中、ジェイアイエヌは生活者の価値観を切り口とし、市場を細分化。「普段は眼鏡をかけていないが、仕事でパソコンを使用している人たち」を顧客に設定したのです。同社は、現在のパソコンやスマホなどに使用されている液晶ディスプレイのバックライトの主流にLEDが使われていて、そこからブルーライトと呼ばれる眼精疲労や睡眠障害の原因になる光が出ていることに着目します。そして2011年に、レンズに度は入っていないけれども、ブルーライトの光を最大50%カットし、パソコン使用時の目の疲れを軽減する機能を持つ眼鏡“JINS PC”を市場に投入しました。その取り組みは見事成功につながり、この商品は発売後の1年間で50万本というヒット商品になったのです。JINS PCはヤフーや日本マイクロソフトといったネットIT企業の法人需要の取り込みにも成功しているそうです。

 自社の事業や商品を展開する際に、ターゲット顧客に焦点を当てるため、市場を細分化するプロセスが必要になってきます。JINS PCは生活者の観点から市場を細分化することによって、従来の眼鏡の考え方にはない、新たな市場を発見し、商品のヒットにつなげることができました。市場を見極め新たなターゲットを見つけることにより、ダウントレンドにある業界にあっても再度成長を図ることができるということは興味深いものです。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

マーケティング3.0“スピリチュアル・マーケティング(感動のマーケティング)”

マーケティング3.0“スピリチュアル・マーケティング(感動のマーケティング)”について記載します。

モノが満たされる中で、生活者は物質的な充足だけでなく、精神的な充足を与えてくれるような「企業活動」「ビジネスモデル」「商品」「サービス」を求めるようになってきました。それに合わせて、企業も企業のミッションやビジョンの中に精神的な動機付けを組み込み始めました。そうすることによって、人の幸せに貢献することができれば、売上と収益がついてくるからです。

 例えば住友化学ではCSRとしてアフリカに蚊帳の提供を行っています。アフリカのサハラ砂漠以南の地域ではマラリアによって多くの人命が失われています。マラリアは別名「貧困の病」とも呼ばれ、アフリカの経済成長を1.3%遅らせ、その経済的損失は年間120億ドルと見込まれていると言います。マラリアは蚊を媒介して感染する病気です。そのことから、住友化学はWHOから「マラリア用に蚊帳を開発してほしい」という依頼をされます。同社は蚊帳を製造することは社会貢献が目的と考えていましたが、依頼元のWHOから蚊帳の生産の継続のためにしっかりと利益を確保するように言われました。そのため、同社では収益の一部をアフリカの学校建設に提供し地域に還元したり、現地工場での直接雇用を創出したりするようになりました。一時期日本でもCSRが注目され、多くの企業が社会貢献活動に取り組み始めましたが、景気後退や企業業績悪化などの理由で、その継続が難しくなった企業が多いと言います。しかしながら、住友化学は本業を通じた取り組みを行うことで、社会貢献活動を継続的に行い、収益を確保するだけでなく、地域の雇用の創出までも実現しているのです。

 次に小売業のCSRの例として、イトーヨーカ堂を見てみます。同社は2008年8月に富里市農業協同組合とその組合員の共同出資により、農業生産法人「セブンファーム富里」を設立しました。千葉県内のイトーヨーカ堂7店舗から排出された食品残さを堆肥化し、この堆肥を利用して野菜を栽培。収穫した野菜を県内の10店舗で販売しています。余ってしまった食品をただ処分するのではなく、堆肥にし、自店舗で販売する野菜を育てているのです。2010年には「セブンファーム富里」に続き「セブンファームつくば」「セブンファーム三浦」「セブンファーム深谷」が設立されています。

モノがあふれている時代だからこそ、社会に貢献できるものを買おうという人々が増えてきているということでしょう。そのような中で、企業は利益を確保しなければその存続が難しくなるので、本業を通じた継続できる取り組みが必要となってきます。人々を精神的に満足させるような商品・サービスを提供するためには、やはり自社の強みや出来ることをしっかりと把握し、工夫を凝らした上で、取り組みを進めていくことが必要なように思われます。

 (参考文献 成功事例に学ぶ マーケティング戦略の教科書)

マーケティング3.0“文化マーケティング カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)

本日はマーケティング3.0“文化マーケティング”カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に関して記載します。

 社会がグローバル化する中で、その逆説について、コトラーは次のように指摘しています。まず経済がグローバル化しても政治は国単位で行われますので、政治は解放されません。また、平等な経済にはならず、富の分配は不公平です。そして、グローバル化が世界共通の文化を生み出す一方で、地域の伝統文化が目覚め、地球市民でありつつも、ローカルの市民である、という矛盾が顕在化してきました。このような逆説が貧困や不公正、環境問題、地域社会への関心を高める結果となりました。“文化マーケティング”とは、企業が行う国や地域への社会貢献性、自社の存在意義として地域を重視し、地域の文化に根ざした活動を行うことにより、共感される企業や商品を目指すことを言います。

 上記の例としてCCCの事例があります。CCCの運営するTSUTAYAと蔦屋書店による書籍と雑誌の販売額(2012年1月~12月)が1097億円であり、書店大手である紀伊國屋書店の1081億円(文具など含む)を超えて、実店舗展開する書籍販売額では国内最大規模の企業に成長していますが、更に新業態の店舗展開にも積極的です。「50代~60代のプレミア世代」を対象にして2011年に「代官山 蔦屋書店」を開業しましたが、こちらの店舗は大型書店でありながら、どの書店にもあるようなコミックや参考書などは置いていないと言います。その代り、クルマ、旅行、料理といった趣味のジャンルや文学、歴史、哲学、建築、アートといった分野に注力しています。また、書店員の選んだ書籍が古本まで含めて品揃えされています。スターバックスもありますので、コーヒーを飲みながら、お客様はじっくりと本を選ぶことができます。趣味性の高い書籍を独自の売場編集で展開することで、書店の位置づけを「本を販売する場所」から「文化を発信する場所」に転換しているのです。

また、CCCは「代官山 蔦屋書店」のノウハウを活用して、佐賀県武雄市と提携し、これまでの公共施設にはないような図書館を実現させました。2013年の4月にリニューアルオープンしたそうですが、4月の再開業から9月末までの半年間で、来館者は前年同期の3.6倍にあたる52万人にもなっているそうです。本の量は20万冊の蔵書の大部分が開架で利用でき、さらに3万冊の販売用書籍が並んでいるそうです。また今までは図書館ではタブーとされてきたおしゃべりもOKで、小さな子供を連れての来館もしやすいといいます。

 CCCはもともと20代~30代の顧客が中心の企業でしたが、少子高齢化に合わせて団塊の世代を狙った動きを見せています。それと同時に本屋のあり方を見直し文化を発信する場所と捉えることにより、地域社会への貢献も果たしているのです。CCCのような取り組みは簡単にできることではないでしょうけれど、社会・地域へどのような形で貢献できているのか、ということはより深く考える必要があるのかもしれません。

 (参考文献 成功事例で学ぶマーケティング戦略の教科書)

無印良品からみるマーケティング3.0“価値共創のマーケティング”

本日は無印良品からみるマーケティング3.0“価値共創のマーケティング”に関して記載します。

コトラーは企業がマーケティングを実践するガイドラインとして「製品の説明」「企業と製品のポジショニング」に加え、今は「企業のミッション・価値」が必要になったと指摘しています。今は「参加の時代」「グローバル化の逆説の時代」「クリエイティブの時代」という3つの時代の力が働いています。これは「ソーシャルメディアの普及」「国際化と地域を重視する方向性の同時進行」「物質的な豊かさだけでなく精神的な豊かさの追求」といったものです。これを受けてマーケティングは「価値共創のマーケティング」「文化マーケティング」「スピリチュアル・マーケティング」の3つが必要となり、この3つが融合したものを「マーケティング3.0」と言います。

 上記3つの中で「価値共創のマーケティング」に関してですが、これは今までのような企業が自社の商品やサービスを開発、あるいは改良・改善を行う際に、顧客となる生活者には定量的・定性的な調査を行って声を聴いてきましたが、これからは単に顧客の声を聴くだけではなく、自社の事業に積極的に参加してもらうというマーケティングとなります。

このような取り組みを行っている企業に無印良品がありますが、同社のFacebookページのファン数は2012年7月5日時点で79万人と国内企業ページではトップクラス。ソーシャルメディア活用での成功企業として知られています。

 無印良品の事例として、2001年に顧客と相互にコミュニケーションを図りながら、生活者視点で商品開発を進めるために「モノづくりコミュニティー」をサイト上に開設したというものがあります。この「モノづくりコミュニティー」の流れは以下のようになっています。「顧客にMUJI.netメンバーに登録してもらい、顧客が持つアイデアを投稿してもらう。」→「寄せられたアイデアとデザインに対して、メンバーに投稿してもらう。」→「無印良品はプロジェクトの進捗状況を会員に知らせ、その後購入予約をしてもらう。」→「予約が一定数を超えると商品化する」という流れで、スタートしました。無印良品のもつコンセプトを守りながら、生活者視点を加味し、商品開発を行ったのです。

 O2Oに関してでは、これまでの小売業におけるO2Oが、メール会員になってもらって購買頻度を分析し、販促メールを配信するという、個々の顧客の買物頻度を重要視しているものでしたが、無印良品はその施策だけではブランド理解が深まらないと考えているようです。コモディティ化の時代、似たようなブランドが出れば他の店に顧客が移ってしまうことも十分にあり得ます。顧客もメディア化している時代、直接商品を購入してくれる人だけでなく、情報を運んでくれる人も大切な顧客だと考えているようです。Facebookで『いいね!』を押してもらえればバイラルで情報が拡散します。無印ブランドに対する理解を深めてもらうような対策を打ち、共感を持ってもらい、情報が拡散していくことが重要ということでしょう。

 自社の取り組みに共感してもらうためには、自社のどういったことが強みなのかを明確にして商品・サービスを作り上げていくことが重要だと思います。そういった部分を確立した上で生活者を巻き込んでいくような対策を打ち出していくことが、これからは必要なのでしょう。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書 新・消費革命ネットで客を店舗へ引きつける)

サントリーのウィスキーに関して

本日はサントリーのウイスキーに関して記載します。

 最近は“最初の1杯目はビール”ではなく、サワーやカクテルのようなライトアルコールを選ぶ人が増えてきています。その流れの中で、ハイボールを飲む人も多いように見受けられます。

 日本のウイスキー市場は1983年にピークを迎え、2008年には1983年と比較して数量ベースで1/5まで需要を減少させていました。ウイスキー市場に活気のあった時代は業務用の主要販路はクラブやバー、スナックでした。しかしながら、バブルが崩壊しこれらの業態は衰退。それとともにウイスキーの消費量も減少していきました。クラブやバーに変わって居酒屋が台頭してきていたのですが、居酒屋にはウイスキーは品揃えの中にありませんでした。そこでサントリーは居酒屋でウイスキーを飲んでもらう条件を徹底的に洗い出しました。そこからビールが喉越しの良さに加え、食事中の飲用としても機能しているのに対し、ウイスキーは食後酒としての飲用が多かったということが導き出されました。そこでサントリーはそれまで認知度の低かったハイボールに着目し、「角ハイボールこだわり3か条+1」というハイボールが最もおいしくなる飲み方をつくりだし、ビールの替わりに1杯目をウイスキーにしてもらうための工夫を凝らしました(角ハイボールこだわり3か条+1:1、グラス一杯に氷を入れ、温度にこだわる。2、最適な炭酸圧を維持するため、冷やしたソーダを静かに注ぎ、混ぜ合わせる際は縦にマドラーを1回だけ回す。3、ウイスキー1に対してソーダ4の割合。+1、氷をグラスに入れる前にレモンを搾る。)。また、業務店で、食中飲料として飲める容量と形態であるジョッキグラスを起用。居酒屋市場にフォーカスを当てた戦略を実行していきます。

また、サントリーはネット活用も重視。「おいしい角ハイボールの作り方」ムービーを制作しホームページ上にアップ。このURLをブロガーが記事中に貼り付けてくれたり、ユーチューブにアップされると、1ヶ月で105万アクセスとなり、広告費換算でおよそ1億円分の価値を生み出しました。更にサントリーは缶入り「角ハイボール」を追加投入し、居酒屋には行きにくい主婦層の獲得にも成功するに至りました。

 「角ハイボールプロジェクト」により、サントリーウイスキーの販売量は2010年には前年比でプラス17%を記録。20年以上にわたる長期低迷傾向から脱出することに成功しました。モノにはライフサイクルがあり、必ず衰退期を迎えます。しかしながらサントリーのウイスキーのように市場が衰退期に入っていたとしても、意思を持って取り組みを行っていくことによって新たな成長をしていくことができるということです。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)

固定費と変動費に関して

本日は企業の費用の分け方の「固定費」と「変動費」に関して記載します。

 経営判断の際に使用する管理会計の中で、費用を分ける一つに「固定費」と「変動費」という二つに分ける方法があります。固定費とは、家賃や人件費のように売上の増減にかかわらず、必要な費用のことを言います。そして、変動費は製品の原材料費や商品一戸当たりの仕入れ代金のように売上とともに変動する費用のことを言います。この数字は外部に報告する義務はありませんので、細かくきっちりと分けて計算する必要はなく、それよりも継続的に数字を見ていく方が重要だそうです。

 各企業で総費用に対して、変動費の割合が多い企業もあれば、固定費の割合が多い企業もあります。固定費が少ない企業のことを「変動費型企業」といい、固定費が多い企業のことを「固定費型企業」と言います。例えば、卸売業や小売業は商品を仕入れて販売するビジネスになりますので変動費型企業と言われます。小売業であれば、売れれば売れるほど、商品を仕入れたり、それに付随して用度品が増えたりしますので。一方、多額の設備投資を行っているメーカーやサービス業は固定費型企業と言われます。例えばゲームセンターは一回作ってしまえば、あとはどれだけゲーム機1基1基を稼働させていくかが勝負になってくるでしょう。企業それぞれにコスト構造に違いがあり、「固定費型企業」「変動費型企業」と分けることができますが、同じ企業であってもその形は変転します。例えば三越伊勢丹の決算説明資料で24年度と25年度予想を比較してみると、変動費(宣伝費)は11,034百万円から11,365百万円に増、固定費(人件費・減価償却費・地代家賃)は85,171百万円から81,166百万円と減、という数値になっています。これは三越伊勢丹が固定費型企業から変動費型企業へシフトしようとしているであろうことが伺えます。

 「変動費型企業」「固定費型企業」の特徴として、「変動費型企業」は不況に強く、「固定費型企業」は好景気に強いというものがあります。つまり、売上が下がればその割合だけ変動費が削減されますので、利益に与えるダメージが小さくなる。一方で売上が上がればその割合だけ変動費が増えることになるので、利益の伸びが少なくなるということです。

 不景気になるとリストラを盛んに行い、固定費を減らす努力をして総費用に対する変動費の割合を増やし、反対に好景気になると積極的な投資を行い、固定費を増やしてでも規模を拡大して売上を上げるように努力するという行動は上記に基づくものと考えられます。

 (ファイナンシャルアカデミー会計スクール参照)

スマートフォンの普及

本日はスマートフォンの普及という視点で記載します。

 最近、スマホを持つ人が街を見ていても随分と増えたなという感想を持ちます。実際に国内の携帯電話販売に占めるスマホの割合は8割を超えていると言います。また、総務省がまとめた2012年通信利用動向調査によると、スマホの世帯保有数は2010年末9.7%、2011年末29.3%、2012年末49.5%とうなぎ上りで増えてきています。

スマホの世帯保有数が増えるのと同時にスマホを使ったインターネットの利用も増してきています。2011年末と2012年末でインターネットの世代別個人利用の状況を比較してみると、スマホの利用者数は各年代ともに増加しています。中でも20代以下を見てみると、インターネットの利用端末として初めて携帯電話を上回るという状況になっています。

スマホの普及により消費者の購買行動に一つの特徴が表れているようです。それは、スマホの利用者はネット通販の消費意欲が高い傾向にあるということです。スマホ経由のネット通販で商品やサービスを購入した人の平均額は24,376円で、この数字は携帯電話より6,800円ほど高くなっていると言います。スマホの普及はネット通販の売上拡大のけん引役ともなっているのです。僕もスマホにHOT PEPPERのアプリを入れていますが、スマホの普及によって移動しながら商品を買ったり、店を探したりする消費行動が定着してきています。このような状況にあることから企業は消費者を囲い込むためのサービス競争を展開していることになってきています。

スマホの普及は消費行動の変化を生み、それに合わせて企業の取り組みも進んできているということでしょうか。スマホの普及は今以上にどんどん進んでいくでしょうから、ネットをどう活用していくかは、今まで以上に重要なポイントとなってくるのかもしれません。

 (参考文献 Q&A 日本経済の基本100)

ディズニーのマルチ展開

本日はディズニーのマルチ展開に関して記載します。

ディズニーはかつて映画などのコンテンツ制作が中心の会社でした。しかしながら、ウォルト・ディズニーの死後、1970~1980年のディズニーは白雪姫やピノキオなどの過去の名作のリバイバル上映が多くなり、映画部門やディズニーランドの入場者が低迷していったと言います。そのような中、マイケル・アイズナー氏が社長となり、ディズニーの“仕組み”を変えていきます。まず、映画製作で最も重要なのは優れたストーリーですが、その部分を強化するべく、優秀なシナリオライターをたくさん雇いました。一方でギャラの高い俳優は使わず、旬を過ぎた俳優を起用し、コストダウンを図っていきます。また、映画コンテンツの2次利用を行うべく、映画をビデオ化して収益を上げていきました。また、キャラクターグッズを販売する直営店ディズニーストアを全米に展開。人気キャラクターのライセンス事業を行うことによりライセンス収入も得ました。そして、ディズニーランドに来る来場者を分析し、ホテルやゴルフ場、結婚式場といった事業まで展開。テレビ局を買収することによって強力な情報発信手段も押さえました。このようにアイズナー氏はディズニーのコンテンツを軸としてマルチ展開を行っていったのです。

サービス面で注目されることが多いディズニーですが、ビジネスの仕組みを作り上げたことにより成長し、今の地位を築き上げているということも重要だと思われます。また、ディズニーを見るとき、ビジネス視点で見るといろいろと発見がありそうで面白そうです。

 (参考文献 成功企業31社のビジネスモデル超入門)