本日はカルビーから見るロングセラーに依存しない新市場を創出することの重要性について記載します。
個人的にカルビーは1994年から2010年まで地元に本社があり、“かっぱえびせん”や“カルビーのポテトチップス”は結構好きなので愛着のある企業です。同社はスナック菓子で国内シェアNo1であり、スナック菓子のイメージの強い会社です。そのカルビーですが今、「スナック菓子のカルビー」から「食のカルビー」へ進化しつつあります。
今日本では少子高齢化が進んでいるわけですが、このままいけば、子どもや若者の数が減り、スナック菓子の国内市場の縮小は避けられません。その中でカルビーは健康志向という観点から「フルグラ」という商品を出しており、この商品が「食のカルビー」をアピールする牽引役になっています。(フルグラ:フルーツグラノーラの略。グラノーラとは、麦や玄米などの穀物にドライフルーツやナッツなどを混ぜた食物繊維が豊富なシリアルのこと。これにフルーツを加えたのがフルーツグラノーラ。)
日本のシリアル市場は約250億円で今まで横ばいで推移してきました。それに対し、アメリカの市場が1兆円規模ですので、それと比較すると非常に小さなものとなります。この実態からカルビーはシリアルが美味しければ日本の市場にも受け入れられるはずだと判断し、1988年から販売されていたフルグラを核として、シリアル事業を推進するため4つの施策を展開していきます。その施策とは、まず始めに2011年に100店舗でフルグラの店頭試食を実施しました。これにより2012年の売上は前年から1.6倍の60億円まで成長しました。次に料理レシピサイトのクックパッドと協働してフルグラのレシピコンテストを実施しました。シリアルと言えば牛乳をかけて食べるという先入観を打破し、多様な食べ方を生活者に知ってもらうための施策です。3つ目にローカル市場を開拓するため、地元の牛乳配達店と協働し、宅配している家庭に、フルグラのサンプルを配布しました。そして4つ目に新たな販路としてドラッグストアやホームセンターでの販売を始めました。上記のような取り組みによりカルビーはシリアル市場でもトップシェアを実現するに至ったと言います。
社会構造の変化は企業に大きな影響を与えます。変化が緩慢な場合、その対応に遅れると企業は致命傷を負うことになります。逆に変化を捉えて新たな対策をとることにより、企業と商品のイメージを刷新する機会にもできることがあります。カルビーは社会構造の変化を直視し、「かっぱえびせん」や「ポテトチップス」という今までの看板商品に頼らず、「フルグラ」という商品をアピールすることで、自社の持つイメージを刷新するとともに、新たな市場を開拓することができたのです。人口減少に伴う社会構造の変化は日本にある企業のすべてが影響することです。ですので、カルビーのこの取り組みは参考となる動きだと考えます。
(参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)