本日は新技術に伴うO2Oに関して記載します。
2012年5月~6月にGAPの原宿店と銀座店で「ハイタッチ!でいいね!GINZAvsHARAJUKU SUMMER T コーデイベント」が開催されました。このイベントはストアスタッフたちが一番人気の“最旬サマーTシャツコーデ”を目指して競い合うものでした。このイベントの面白いところが、「消費者がリアル店舗に行き、自分の好きなコーディネイトを着用している店員を選び、その店員とハイタッチをすると、そのコーディネイトに対してのいいね!が送信される」ということです。この技術的な仕組みはNFCと呼ばれる近距離無線通信技術を使用して実施されました。NFCは通信距離が10cm程度に限定されるものの、「かざす」だけで、誰でも簡単にデータ通信が可能となるものです。消費者がNFCタグのリストバンドをNFCリーダーにかざすだけで、自分のFacebook上に「いいね!」が送信されます。まさしく、リアルとネットの垣根を越えた「リアルいいね!」となるわけです。店舗側からすれば消費者の知人・友人にリアルタイムで情報が拡散されますので、高い宣伝効果が期待できます。実際、GAPのイベント期間中のFacebookページのコメントやいいね!の総数が4倍にもなったと言います。かなりのバイラル効果があったということです。また、GAPはイベント期間中、スタッフのコメントムービーを毎日投稿したり、店内全品レジにて20%OFFのFacebookクーポンを発行したりして、送客強化を図りました。
他の例では、ブラジルのアパレル企業「C&A」は母の日の際に、商品の人気度が一目でわかるFacebook連動ハンガーを導入しました。これはFacebookアプリ「Fashion Like(キャンペーンはすでに終了)」で気に入った服にユーザーが「いいね!」をするとリアル店舗のハンガーに「いいね!」の数がリアルタイムに表示される仕組みになっていました。「いいね!」の数が高くなればなるほど、消費者の購買意欲が高まっていく仕組みでしょう。
最近ではウェアラブルコンピューターという、腕時計型(スマートウォッチ)や眼鏡型(スマートグラス)のような身に着けて持ち歩くことができる小さいコンピュータの登場が言われていて、2016年にはスマートグラスは1000万台、スマートウォッチは1億台の出荷台数になると予測されています。最先端の技術が進めば進むほどリアルとネットがシームレスに融合し、その境界線は今後さらになくなってくることが想定されます。これに伴ってリアル店舗のO2O戦略も進化してくると思われます。日進月歩でネットが普及する中、リアル店舗側とするとどれだけ先見性を持って的確に投資に踏み込めるかということも重要そうです。