本日はJINS PCの市場の細分化に関して記載します。
少し前に尾田栄一郎のワンピースとJINS PCがコラボした商品のCMがやっていましたが、このJINS PCはこれまで眼鏡を必要としていなかった生活者にまで需要を拡大した商品です。
もともと眼鏡は、レンズはニコンやHOYAなどの国内メーカー、フレームは問屋や商社から仕入れていたため、中間マージンがかかり販売価格が高止まりしていた業界でした。そこに、ジェイアイエヌの「JINS」やインターメティックの「Zoff」といった企業が安価な商品を投入し、一時的に売上を拡大しました。しかしながら、低価格競争の流れの中、眼鏡市場は2000年代からの10年間で6000億円から4000億円まで規模が縮小してしまいます。
その眼鏡市場のダウントレンドの中、ジェイアイエヌは生活者の価値観を切り口とし、市場を細分化。「普段は眼鏡をかけていないが、仕事でパソコンを使用している人たち」を顧客に設定したのです。同社は、現在のパソコンやスマホなどに使用されている液晶ディスプレイのバックライトの主流にLEDが使われていて、そこからブルーライトと呼ばれる眼精疲労や睡眠障害の原因になる光が出ていることに着目します。そして2011年に、レンズに度は入っていないけれども、ブルーライトの光を最大50%カットし、パソコン使用時の目の疲れを軽減する機能を持つ眼鏡“JINS PC”を市場に投入しました。その取り組みは見事成功につながり、この商品は発売後の1年間で50万本というヒット商品になったのです。JINS PCはヤフーや日本マイクロソフトといったネットIT企業の法人需要の取り込みにも成功しているそうです。
自社の事業や商品を展開する際に、ターゲット顧客に焦点を当てるため、市場を細分化するプロセスが必要になってきます。JINS PCは生活者の観点から市場を細分化することによって、従来の眼鏡の考え方にはない、新たな市場を発見し、商品のヒットにつなげることができました。市場を見極め新たなターゲットを見つけることにより、ダウントレンドにある業界にあっても再度成長を図ることができるということは興味深いものです。
(参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)