本日はマーケティング3.0“文化マーケティング”カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に関して記載します。
社会がグローバル化する中で、その逆説について、コトラーは次のように指摘しています。まず経済がグローバル化しても政治は国単位で行われますので、政治は解放されません。また、平等な経済にはならず、富の分配は不公平です。そして、グローバル化が世界共通の文化を生み出す一方で、地域の伝統文化が目覚め、地球市民でありつつも、ローカルの市民である、という矛盾が顕在化してきました。このような逆説が貧困や不公正、環境問題、地域社会への関心を高める結果となりました。“文化マーケティング”とは、企業が行う国や地域への社会貢献性、自社の存在意義として地域を重視し、地域の文化に根ざした活動を行うことにより、共感される企業や商品を目指すことを言います。
上記の例としてCCCの事例があります。CCCの運営するTSUTAYAと蔦屋書店による書籍と雑誌の販売額(2012年1月~12月)が1097億円であり、書店大手である紀伊國屋書店の1081億円(文具など含む)を超えて、実店舗展開する書籍販売額では国内最大規模の企業に成長していますが、更に新業態の店舗展開にも積極的です。「50代~60代のプレミア世代」を対象にして2011年に「代官山 蔦屋書店」を開業しましたが、こちらの店舗は大型書店でありながら、どの書店にもあるようなコミックや参考書などは置いていないと言います。その代り、クルマ、旅行、料理といった趣味のジャンルや文学、歴史、哲学、建築、アートといった分野に注力しています。また、書店員の選んだ書籍が古本まで含めて品揃えされています。スターバックスもありますので、コーヒーを飲みながら、お客様はじっくりと本を選ぶことができます。趣味性の高い書籍を独自の売場編集で展開することで、書店の位置づけを「本を販売する場所」から「文化を発信する場所」に転換しているのです。
また、CCCは「代官山 蔦屋書店」のノウハウを活用して、佐賀県武雄市と提携し、これまでの公共施設にはないような図書館を実現させました。2013年の4月にリニューアルオープンしたそうですが、4月の再開業から9月末までの半年間で、来館者は前年同期の3.6倍にあたる52万人にもなっているそうです。本の量は20万冊の蔵書の大部分が開架で利用でき、さらに3万冊の販売用書籍が並んでいるそうです。また今までは図書館ではタブーとされてきたおしゃべりもOKで、小さな子供を連れての来館もしやすいといいます。
CCCはもともと20代~30代の顧客が中心の企業でしたが、少子高齢化に合わせて団塊の世代を狙った動きを見せています。それと同時に本屋のあり方を見直し文化を発信する場所と捉えることにより、地域社会への貢献も果たしているのです。CCCのような取り組みは簡単にできることではないでしょうけれど、社会・地域へどのような形で貢献できているのか、ということはより深く考える必要があるのかもしれません。
(参考文献 成功事例で学ぶマーケティング戦略の教科書)