無印良品からみるマーケティング3.0“価値共創のマーケティング”

本日は無印良品からみるマーケティング3.0“価値共創のマーケティング”に関して記載します。

コトラーは企業がマーケティングを実践するガイドラインとして「製品の説明」「企業と製品のポジショニング」に加え、今は「企業のミッション・価値」が必要になったと指摘しています。今は「参加の時代」「グローバル化の逆説の時代」「クリエイティブの時代」という3つの時代の力が働いています。これは「ソーシャルメディアの普及」「国際化と地域を重視する方向性の同時進行」「物質的な豊かさだけでなく精神的な豊かさの追求」といったものです。これを受けてマーケティングは「価値共創のマーケティング」「文化マーケティング」「スピリチュアル・マーケティング」の3つが必要となり、この3つが融合したものを「マーケティング3.0」と言います。

 上記3つの中で「価値共創のマーケティング」に関してですが、これは今までのような企業が自社の商品やサービスを開発、あるいは改良・改善を行う際に、顧客となる生活者には定量的・定性的な調査を行って声を聴いてきましたが、これからは単に顧客の声を聴くだけではなく、自社の事業に積極的に参加してもらうというマーケティングとなります。

このような取り組みを行っている企業に無印良品がありますが、同社のFacebookページのファン数は2012年7月5日時点で79万人と国内企業ページではトップクラス。ソーシャルメディア活用での成功企業として知られています。

 無印良品の事例として、2001年に顧客と相互にコミュニケーションを図りながら、生活者視点で商品開発を進めるために「モノづくりコミュニティー」をサイト上に開設したというものがあります。この「モノづくりコミュニティー」の流れは以下のようになっています。「顧客にMUJI.netメンバーに登録してもらい、顧客が持つアイデアを投稿してもらう。」→「寄せられたアイデアとデザインに対して、メンバーに投稿してもらう。」→「無印良品はプロジェクトの進捗状況を会員に知らせ、その後購入予約をしてもらう。」→「予約が一定数を超えると商品化する」という流れで、スタートしました。無印良品のもつコンセプトを守りながら、生活者視点を加味し、商品開発を行ったのです。

 O2Oに関してでは、これまでの小売業におけるO2Oが、メール会員になってもらって購買頻度を分析し、販促メールを配信するという、個々の顧客の買物頻度を重要視しているものでしたが、無印良品はその施策だけではブランド理解が深まらないと考えているようです。コモディティ化の時代、似たようなブランドが出れば他の店に顧客が移ってしまうことも十分にあり得ます。顧客もメディア化している時代、直接商品を購入してくれる人だけでなく、情報を運んでくれる人も大切な顧客だと考えているようです。Facebookで『いいね!』を押してもらえればバイラルで情報が拡散します。無印ブランドに対する理解を深めてもらうような対策を打ち、共感を持ってもらい、情報が拡散していくことが重要ということでしょう。

 自社の取り組みに共感してもらうためには、自社のどういったことが強みなのかを明確にして商品・サービスを作り上げていくことが重要だと思います。そういった部分を確立した上で生活者を巻き込んでいくような対策を打ち出していくことが、これからは必要なのでしょう。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書 新・消費革命ネットで客を店舗へ引きつける)