サントリーのウィスキーに関して

本日はサントリーのウイスキーに関して記載します。

 最近は“最初の1杯目はビール”ではなく、サワーやカクテルのようなライトアルコールを選ぶ人が増えてきています。その流れの中で、ハイボールを飲む人も多いように見受けられます。

 日本のウイスキー市場は1983年にピークを迎え、2008年には1983年と比較して数量ベースで1/5まで需要を減少させていました。ウイスキー市場に活気のあった時代は業務用の主要販路はクラブやバー、スナックでした。しかしながら、バブルが崩壊しこれらの業態は衰退。それとともにウイスキーの消費量も減少していきました。クラブやバーに変わって居酒屋が台頭してきていたのですが、居酒屋にはウイスキーは品揃えの中にありませんでした。そこでサントリーは居酒屋でウイスキーを飲んでもらう条件を徹底的に洗い出しました。そこからビールが喉越しの良さに加え、食事中の飲用としても機能しているのに対し、ウイスキーは食後酒としての飲用が多かったということが導き出されました。そこでサントリーはそれまで認知度の低かったハイボールに着目し、「角ハイボールこだわり3か条+1」というハイボールが最もおいしくなる飲み方をつくりだし、ビールの替わりに1杯目をウイスキーにしてもらうための工夫を凝らしました(角ハイボールこだわり3か条+1:1、グラス一杯に氷を入れ、温度にこだわる。2、最適な炭酸圧を維持するため、冷やしたソーダを静かに注ぎ、混ぜ合わせる際は縦にマドラーを1回だけ回す。3、ウイスキー1に対してソーダ4の割合。+1、氷をグラスに入れる前にレモンを搾る。)。また、業務店で、食中飲料として飲める容量と形態であるジョッキグラスを起用。居酒屋市場にフォーカスを当てた戦略を実行していきます。

また、サントリーはネット活用も重視。「おいしい角ハイボールの作り方」ムービーを制作しホームページ上にアップ。このURLをブロガーが記事中に貼り付けてくれたり、ユーチューブにアップされると、1ヶ月で105万アクセスとなり、広告費換算でおよそ1億円分の価値を生み出しました。更にサントリーは缶入り「角ハイボール」を追加投入し、居酒屋には行きにくい主婦層の獲得にも成功するに至りました。

 「角ハイボールプロジェクト」により、サントリーウイスキーの販売量は2010年には前年比でプラス17%を記録。20年以上にわたる長期低迷傾向から脱出することに成功しました。モノにはライフサイクルがあり、必ず衰退期を迎えます。しかしながらサントリーのウイスキーのように市場が衰退期に入っていたとしても、意思を持って取り組みを行っていくことによって新たな成長をしていくことができるということです。

 (参考文献 成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書)