本日は企業の費用の分け方の「固定費」と「変動費」に関して記載します。
経営判断の際に使用する管理会計の中で、費用を分ける一つに「固定費」と「変動費」という二つに分ける方法があります。固定費とは、家賃や人件費のように売上の増減にかかわらず、必要な費用のことを言います。そして、変動費は製品の原材料費や商品一戸当たりの仕入れ代金のように売上とともに変動する費用のことを言います。この数字は外部に報告する義務はありませんので、細かくきっちりと分けて計算する必要はなく、それよりも継続的に数字を見ていく方が重要だそうです。
各企業で総費用に対して、変動費の割合が多い企業もあれば、固定費の割合が多い企業もあります。固定費が少ない企業のことを「変動費型企業」といい、固定費が多い企業のことを「固定費型企業」と言います。例えば、卸売業や小売業は商品を仕入れて販売するビジネスになりますので変動費型企業と言われます。小売業であれば、売れれば売れるほど、商品を仕入れたり、それに付随して用度品が増えたりしますので。一方、多額の設備投資を行っているメーカーやサービス業は固定費型企業と言われます。例えばゲームセンターは一回作ってしまえば、あとはどれだけゲーム機1基1基を稼働させていくかが勝負になってくるでしょう。企業それぞれにコスト構造に違いがあり、「固定費型企業」「変動費型企業」と分けることができますが、同じ企業であってもその形は変転します。例えば三越伊勢丹の決算説明資料で24年度と25年度予想を比較してみると、変動費(宣伝費)は11,034百万円から11,365百万円に増、固定費(人件費・減価償却費・地代家賃)は85,171百万円から81,166百万円と減、という数値になっています。これは三越伊勢丹が固定費型企業から変動費型企業へシフトしようとしているであろうことが伺えます。
「変動費型企業」「固定費型企業」の特徴として、「変動費型企業」は不況に強く、「固定費型企業」は好景気に強いというものがあります。つまり、売上が下がればその割合だけ変動費が削減されますので、利益に与えるダメージが小さくなる。一方で売上が上がればその割合だけ変動費が増えることになるので、利益の伸びが少なくなるということです。
不景気になるとリストラを盛んに行い、固定費を減らす努力をして総費用に対する変動費の割合を増やし、反対に好景気になると積極的な投資を行い、固定費を増やしてでも規模を拡大して売上を上げるように努力するという行動は上記に基づくものと考えられます。
(ファイナンシャルアカデミー会計スクール参照)